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総合学習「正解のない答えに立ち向かう」

問 あなたがいま試験を受けているキャンパスに関して、あなたが気づいたことを一つ選び、それについて60語から80語の英語で答えなさい。

 

東京大学の2017年入試で実際にこのような問題が出されたそうです。

現在、一つの入試傾向として「考える力」を問う問題が多く出題されております。

私たちも真剣に「考える力」の育成に取り組まなければなりません、が、それは決して「入試対策のため」ではなく、子どもたちが「未知の社会を生きるため」に必要なことであることは間違いありません。

 

そこで、1月の中学生の総合学習は「正解のない答えの探し方」でした。

 

社会に出てから多くのシーンで問われ続けるこの「正解のない答え」。

ある人は自分の経験を元に、ある人は本で読んだことを元に、ある人は自分の尊敬する人の言葉を元に…

そういう何かを拠りどころにして答えを生み出していくのだと思います。

 

では、人生まだ十数年の中学生は何を拠りどころにすればよいでしょうか。

一日目の授業では「軸を立てて考える」という練習を様々な角度から試みました。

 

例えばカード使って生徒自身が問題作成をしました。

「このカードを分類してください」

一見簡単そうですが、自分はもちろん相手も納得させるための「軸作り」が実は難しく、そして大切であることに気づいてくれました。

 

そして模擬討論。

討論会を成り立たせるためには「軸」を共有していないと、結局自分が言いたいことだけを一方的に言ってしまうことがある。

そしてそれは大人の話し合いの中でもよく起こることであり、テレビの討論番組を見ていてもそれは明らかである。

そういうことを考えながら、「軸を立てた」ディベートの練習をしました。

 

二日目。

実はこの授業は以前から子どもたちに考えさせたかった内容で、それは大災害が起きた時の行動についてです。

昨年の世相を表す漢字の一つに「災」がありました。

子どもたちが日本へ一時帰国で、本帰国で帰った時、それだけではなく世界のどこかにいて災害に巻き込まれた時、私たちは子どもたちに強く生きる力を持っていてほしいと願っています。

そのために、いろいろな状況を想定し、それぞれの立場から、どう災害と向き合うか、どのような選択をしていくか、という質問と討論を繰り返し繰り返しやりました。

 

例えば「大きな地震が起き津波警報が出されている。あなたは家族の安否を確認しに家に戻るかどうか?」

 

大人がやっても相当頭を使い、悩む問題ばかりです。

しかし東日本大震災の時に、沿岸部に住む多くの方がこの問題に直面しました。

報道などで被災した方がこのことを話すシーンは何度も見てきましたが、もし自分だったらどうするか・・・

問いかけることはあっても答えを出そうとしたことは、私自身もなかった気がします。

 

そんな難しい問いかけにKOMABAの中学生がどれだけ真剣に状況を仮定し、どれだけ真剣に問題と向き合えるか・・・

正直言って不安もあったのですが、さすがKOMABA生!

全員が本気で考え、答え、意見を出してくれ、中には途中で災害の状況に感情移入しすぎてしまう子もいたくらいでした。

 

このブログでは書ききれませんが、私個人的にはここ数年で会心の総合学習を作れたと思います。

そしてそれは他ならぬ、私ではなく生徒たちの力。

参加した生徒たち全員が真剣に「正解のない答え」をどう出していったらよいか、必死に取り組んでくれくれた賜物です。

参加してくれたみんな、ありがとう!

 

参加した生徒たちの学力は、当然ながらバラバラです。

教科によっては「うーん、もっと頑張ろうか!」と声がけが必要な生徒もいます。

でも本気で思うんです。

今回のような学びの時に、しっかりと自分の意見を持ち、主体的に課題に取り組み、大人をうならせるような発言をしくれる、

そんな力があるのだから、みんなの未来は大丈夫!!!

 

きっと叡知とはこういう学びを深めていくところにあるだろうな、と思います。

 

石川