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Over the Wallの活動参加に対する思い①

齢を重ねて振り返ると、誰しも「あぁ、あの時が分岐点だったな」と思うことは誰にしもあると思います。

相当にきわどい、薄氷の分岐点を渡ってきたと自認する私ですが、やはり大きかったのは協力隊としてのジンバブエ派遣です。

 

最高の体験でした。

一番短く言語化するならば、

「生きるために生きる時間を過ごせた」こと。

 

当時のジンバブエの平均授業は40歳未満。

ピーク時のインフレ率は800億%。

ムガベ大統領の独裁により国際社会からの制裁。

 

話題の見出しだけ並べれば何一つ良いことがない、世界最悪の国、と言っても過言ではない。

それが当時のジンバブエでした。

 

そんな状況下で、私はチャカリという村で小学校教諭として音楽を巡回指導していました。

白状すると、私は日本での小学校教諭の経験もなければ教育としての音楽指導経験もゼロの、ただの「いたいバンドマンくずれ」でした。

開発途上国の子どもたちに与える知識も経験もない私は……

村の子どもたちや暮らす人々からたくさんのことを与えられてばかりいました。

 

豊かに生きるとはどんなことなのか。

 

日本で就職もせずに行き場をなくしていた私にとって、日常の何気ない営みの全ては新しい発見と気づきの連続でした。

 

私が勤めた小学校に通う子どもたち。

学校に通うことがみんな大好きでした。

新しいことを知るのがこんなに楽しい!という新鮮さで満ちた授業。

遠い異国から来たシロウトの私が伝える音楽に、子どもたちだけではなく先生たちも真剣に耳を傾け学ぼうとしてくれました。

しかし、たくさんの課題もありました。

何割かの子どもたちは既に孤児となっているため学費が払えず、どんどん留年していきます。

教室は窓ガラスは割れたまま、穴だらけの吹きさらし。

満足な食事を取れない子どもたちも多いなか、定期的に教会からの寄付で配給されるトウモロコシのおかゆが大切なエネルギー源。

「親が死んじゃった」と埋葬のための寄付を募る生徒は多いと月に何度も。先月まで一緒に働いていた同僚を亡くすこともありました。

 

与えられてばかりだったジンバブエでの経験は、その後の更なる分岐点を創っていき・・・今につながっています。

私が口癖のように言う「主体的な学び」とはこの時の経験からです。

教育は私たち日本人にとってあたりまえのように享受できるもので、それがゆえに受けさせられるものとなりがちです。

もし、教育が受けられなかったら。

子どもたちは間違いなく主体的に学びます。

そうして得た学びは生きる力となり、その子の未来の可能性に結び付いていきます。

 

大切な生きる支えを私に与えてくれたジンバブエに、アフリカの大地に恩返しをしたい。

そう思い続けて、思っているだけしかできなくて、気がつけば20年が経ちました。

もう動かないといけません。

 

その第一歩として、今月、心の友であるミヤザキケンスケ氏の活動「Over the Wall」のお手伝いをしに行きます。

場所はケニアです。

 

アフリカの懐かしい風を胸いっぱいに吸い込んで、新しい発見をたくさんして、それをシンガポールやジャカルタの塾に通ってくれる子どもたちに還元できるよう……がんばります!

 

石川

(次回に続く)

ケニア 壁画プロジェクト
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