ひらがなだらけのこのテスト。
内容は小学1年生の国語のテストです。
・・・にしては、写っている「手」が小学1年生には・・・見えないですね。
これは今日、私が実施した新中学3年生の国語の授業中の写真。
つまり写真の「手」の主は4月から中学3年生の生徒ということになります。
あぁ、ついにKOMABAはそこまで落ちたのかそこまで来たのかそんなにダメなのか・・・
なんて思ったあなたっ!ふふふ、これにはちゃんとした受験学年となる中学生へのメッセージがあるのです。
「ちゃんと見直しをしたの?もう一度自分の解答をよく考えなさいっ」
「解けなかったの?じゃあ解きなおしを徹底的にやりなさいっ」
学校でも塾でもご家庭でも、よく子どもたちに投げかけられる言葉です。
そう言われて要求通りに見直しや解きなおしができる子なのであれば・・・そもそもそのような言葉を投げかけられる事態に陥っていません。
特に国語という教科は、他教科と比べて明確な課題や問題点を生徒たちが自覚しづらい教科と言われます。
ーなんとなく、出来たー
ーなんとなく、出来なかったー
テストをやっていても結果論で片付けてしまう生徒が多い、それが国語です。
それが故か数学と英語に比べて生徒の受講率が下がる教科、それが国語です(悔しい)。
なんとなくの教科=国語の学習は、どのように進めていけばいいのでしょうね。
そのヒントを与えるために私は毎年この時期、新中学3年生に対してこの授業、つまり小学1年生→2年生→3年生・・・のテストをやります。
以下、手順。
まず開始時にただ一言「今から小1のテストをやる。百点取れなかったら・・・恐ろしいことになると思え!」
そう言うと中3の生徒たちは決まって「えぇ」「いやぁん」「おわったぁ」とウフフウフフ言いながら・・・めちゃくちゃ真剣にやります。
終わったら「次は小2だ。覚悟はいいいか!」
「えぇ」「いやぁん」「おわったぁ」「ウフフウフフ」→プライドがかかっているため真剣
そしてその次は小3・・・と上がっていきます。
そうしていくと、最初は物珍しく真剣に意欲的に取り組んできた子どもたち。
「何でこんなことやらされているんだろう」
と考えだします。
そこでストップ。
生徒たちに問いかけます。
―今、みんなは小1から学年を上げながらテスト問題に取り組んだ訳だけど、果たして何が難しくなっていったと思う?—
今やったばかりのテストですから、生徒たちは次々に意見を出してきます。
「漢字や語いが難しくなった」
「文章が長くなった」
「解答の文字数が多くなった」
―他には?—
「・・・選択肢にひっかけが多くなったりして難しくなった」
「・・・文章中に書かれていない言葉と同じ意味の言葉を選ばなくちゃいけなくなった」
「・・・書き抜きだけでは答えを作れなくて要約する力が必要になった」
「・・・心情をセリフからではなく情景描写から読み取らなくてはならなくなった」
生徒たち自らがいろんな視点で意見を出してきます。
つまり私(指導者側)からではなく、より具体的に設問の意図やポイントを生徒たち自身に考えさせます。
そして難易度が上がるとはどういうことなのかについて気付かせる、それがこの授業の狙いです。
国語の問題、解ける解けないには一問一問に必ず明確な理由があります。
・漢字や語いが読めない、または修飾被修飾の関係がつかめなくて文意が分からなかった
・登場人物の心情を掴めないまま問題を解いていた
・筆者の主張なのか一般論なのかをごちゃまぜにしてしまっていた
・本文と設問にある選択肢の言い換え・同意表現を理解できていなかった
・本文のキーワードだけを拾ってしまい文意が異なっていることに気づけなかった・・・などなど
そういった「自分が間違ってしまった理由と向き合う」ということをしない限り、なかなか国語力は上がっていかないものです。
冒頭で書いた「見直し」「解きなおし」ですが、そういったことが苦手な生徒たちは、そもそも「見直し」「解きなおし」の仕方が分からないでいるのです。
これからどんどん難しい文章問題に取り組み、入試問題に取り組んでいかなければならない中学3年生。
例えばある学校の入試問題を解く、これは誰でもやっていることです。
その問題の解き方を解説する、これも当然どの学校や塾でもやっていることです。
しかし問題に対して「何」が分からなかったから間違えたのか、を生徒自ら分析・検証するやり方。
これをここから受験学年の前半戦で徹底的に伝えていくことが大切だと私たちは考えています。
やるかやらないかはあなた(受験生)次第です。