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連載「日々邂逅13」—歌おう—

日々邂逅13
ー歌おう

「今日はいると思ったよ、練習で不満そうだったもんな」

声をかけてきて正面の階段に座り込んだのは、バンドメンバーかつ兄貴分の先輩。

ここは盛岡駅前の地下道。

大学時代、僕は夜になると度々ここに来て歌っていました。

不安になったり、

むしゃくしゃしたり、

思うようにいかないなぁと嘆きたくなったとき、

必ずと言っていいほどこの場所に来て歌を歌っていました。

ちなみに当時の盛岡駅から僕が住んでいた滝沢村への最終電車は21:15。

最終バスに至っては使ったことがないから覚えてないが、19時台。早すぎるだろ、岩手交通。

そんなわけで原チャリにまたがり、またがった両膝でハードケースに入ったアコースティクギターを挟み、片道45分の道のりを通ったわけですよ。

よく通えたなぁ。

そうして辿り着いた地下道で、いろんな歌を歌いました。

ビートルズやジョンレノン、尾崎豊、最近のお気に入りの曲、自作の曲。

誰かが聞いてくれるわけでもないし、ファンの女の子がいるわけでも(もちろん・・・)ない。

ただただ歌い続けました。

盛岡の夜は早い。

とうに終バスも終電も出発し、ひと足も途絶えた地下道。

静寂をお客さんに歌い続ける。

そうすると・・・

もやもやべたべたと張り付いていたたくさんのものが剥がれていき、空気に溶けて、心に芯がすぅっと通ってくる。

今やるべきこと、今めざすべきこと、今大切にすべきこと。

そういうものがストンと落ち着いた頃、ようやくギターをケースにしまい、また片道45分を原チャリで戻っていったものでした。

 

そんな気持ちがふっと思い出されたのは、コロナ禍でいろいろ疲れているんでしょうね、私。

昔の自分が「それじゃだめよ、歌いなさい」って言いに来たんでしょうね、きっと。

 

よし、歌おう。

 

そんなわけで最近部屋でギターやらピアノやらを弾きながら歌いまくってます。

調子に乗って動画とか作りだしたら、もう止まらない。

(でもFaceBookにあげたら全然「いいね!」がつかなくて寂しい)

 

食っていくための術にはならなかった音楽ですが、

自分を立て直す術としてはどうやらまだ生き続けてくれてたようで、それがたまらなく嬉しい。

あぁ、音楽あんなにやってて、よかったな。

 

ついでに、早くPhase3になって子どもたちと対面で授業できたらもっと嬉しいなー。

 

石川