総合学習で取り上げなければならない、でもどのように伝えたらよいか・・・
おそらくこれまでで最も悩んだ総合学習の準備が続いていました。
2022年2月24日、ロシアがウクライナへ侵攻しました。
21世紀になっても世界では戦争は起こってきました。
しかし、私たちが戦争をこんなに「現実的」に感じていることはもしかしたら21世紀以降で初めてかもしれません。
連日報道される映像や現地からの声のためか。
アメリカ主導によるアフガン戦争やイラク戦争とは違った、露骨な隣国の領土侵略だからなのか。
悲しいことに私たちは「現実的」な戦争の悲惨さを日常として知ることとなってしまっています。
そんな中、塾に来る子どもたちは高校生はもちろん小学生に至るまで、ロシアとウクライナのことを口にするようになりました。
「プーチンは最低な人だ」
「ロシアなんてなくなればいいのに」
小学生の子も口々に言ってきます。
確かに子どもたちが報道からそのように言い出すことは無理もない。
子どもたちの正義感を高揚させるには十分すぎるほどの悲惨な映像を連日見せられています。しかし・・・
プーチン=ロシア=悪
という端的な感性で世界が平和にならないことは、過去を振り返れば明らかです。
こんな時こそ、一人一人の考える力が求められている。
事実は事実として。
感情は感情として。
大切なのはより良い世界になるために、私たち一人一人が自ら考え、自ら幸せな社会を構築できるような力を育てること。
このような思いを伝えることができる授業がしたい。
そう思いながら準備を重ねました。
さて、実際の授業。
対象は小学2年生以上高校生までそれぞれでやりましたので、内容は年齢に合わせて変えていますが、共通したテーマは以下の通りです。
・戦争という「人災」⇒奪われる日常とは?
・争いには必ず歴史上の原因がある⇒歴史を学ぶこと・考えることの大切さ
・ウクライナの人々について⇒5年前にUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)と協力してマリウポリで平和祈願の壁画を描いたミヤザキケンスケさんの体験談と思いを聞く
※ミヤザキケンスケさんはKOMABA生の多くが知っているように、塾と深いお付き合いのあるアーティストです。
小学生でもNATOとは何か話してくれる生徒がいたり、高校生だと歴史的な深い話まで聞かせてくれる生徒がいたりと、どの年齢層でも皆真剣に耳を傾け、考えてくれていたのが嬉しかったです。
その流れを受けてミヤザキさんのウクライナでの経験談、そして何よりも思いを込めた壁画にまつわるエピソードは、このような事態になってしまった今、皮肉にも一層色を深めて私たちの心に突き刺さっていきました。